
- HONDA CB750F1…75年に発売されたものの、日本での人気はイマイチでした。
主に中古車や人のバイクに乗って「怖い!」と思ったことありませんか?
何となく操縦性が不安定、左右でハンドルの切れ方が違う、何となく不安定で車体全体が揺れる・・・事故車の可能性もありますが、一つ注目したいのが、ステアリングポストのステムベアリングなのです。
オートバイという乗り物は、常にハンドルを細かく左右に動かすことで安定性を取り、そして路面のギャップなんかをかわして直進性を生んでいます。
ところが、このステムベアリングの状態が悪くて本来の動きを出来ない場合、本来ならハンドルの細かい動きで吸収される路面のギャップ等の衝撃が、車体全体に伝わってきまい、コレが不安定さの原因となるのです。
そして左右でハンドルの切れ方が違うというのも、ベアリングの動きにムラがあることから起きます。
こうなった場合、ベアリングを交換するのがベストなのですが、そこまでしなくても、グリスアップして、本来のトルクで締め付けてやるだけで、随分とハンドルの感触が良くなるものなのです。
もう一つ大切なのが、タイヤ、特に後輪の摩耗による影響は非常に大きいですね。
特に後輪は、どうしても平らに摩耗しやすく、本来の断面を維持して満遍なく摩耗させるのは非常に難しいことです。
その摩耗による断面の変化によって生じるコーナーリング時の不安定さは、タイヤを交換すれば、ビックリする位に改善します。
さて、怖いバイクと言って私が忘れられないのが、ニュージーランド時代に個人売買で試乗に行ったホンダCB750f1でした。
CB750f1というのは、あのCB750kシリーズのバリエーションで、75年に登場しました。
ヨーロッパ風のデザインと集合マフラーが特徴でしたが、重量が増えた上に静かな排気音を理由に日本ではイマイチ人気を得るには至りませんでした。当時の日本では、1馬力でも高出力で、1キロでも最高速度が速いことが求められたのです。
そして日本人に注目されないせいか、カナダも含めて比較的残っていたりします。逆に日本で超プレミア付きで取り扱われるKシリーズは、随分前から軒並み日本人に買い漁られています。
さて、そのf1ですが、値段も手頃だったので試乗に行ったのですが・・・乗って余りに恐ろしいので、試乗を切り上げて返却した位だったのです。今まで個人売買の為に色々なバイクを試乗しましたが、こんな体験は後にも先にもこれだけです!
これはCB750f1が危険なバイク…という訳ではなく、単純に整備不良だったのです。
1.先に紹介したステムベアリングの不良。
2.リアタイヤの偏摩耗。
3.純正よりも長い、社外のリアショック。
これだけ条件が整えば、恐ろしくて当然です!
ちょっとしたギャップで車体が大きく振られ、ちょっと曲がるだけでも恐ろしい真っ平らなリアタイヤ、更には純正よりも長いリアショックのせいで角度が変わったキャスターのせいで、更に安定性が無く、しかも重心位置がフロントタイヤに傾いたせいで、とんでもないハンドリングになっていたのです。
リアショックのお陰で、タダでさえ高いシートが余計に高くなっていたのも、恐怖感を助長していました。
よくこんなの乗ってたな…と驚いたものです。
まあ、値段が値段だったので、買い叩いて修理するという手も有ったと思いますが、余り思い入れのある車種でも無かったので、購入しませんでした。
逆に古いバイクを買う場合、このステムベアリングによる不安定さを理由に買い叩くという手もありますが・・・。