カワサキZ400FX が登場したのは79年、77年に生産中止になったホンダCB400Four以来、久々の400cc4気筒でした。
1975年、急に施行された中型免許制度の影響で、それまで人気の有ったナナハンは、正に雲の上の存在となってしまいました。
そんな中で、中型免許で乗れる最大排気量の400ccが注目を集める様になり、その中でも、CB400four(ヨンフォア)やスズキGT380といった、大型車と同等のメカを持つ車種に人気が集中する様になりました。
ところが、その大人気のヨンフォアも、コスト高を理由に生産中止になり、2気筒のホーク2にバトンタッチ、GTサンパチも、2スト衰退の波に飲まれて生産中止、残るは4ストツインと、古臭い2ストばかりという実に活気の無い時代・・・世界最大かつ最も4ストのノウハウを持つホンダですら採算が合わないということは、もうこのクラスに4気筒が出ることは無い・・・と誰もが思っていただけに、このFXの登場に、ファンは狂喜したのでした。
ヨンフォアが成功しなかった理由は、それが単一の車種であり、それ故のコスト高であった為、FXは輸出仕様には、よりパワーのある500ccを用意し、その兄弟車とする事で、採算ラインに乗せていたのです。
兄貴分と車体を共用することで、400としては異例な程大柄な車体で、その事も、大型車に憧れる中型免許のライダーに支持されたのです。
まあ、実際の走りは・・・正直、馬力はクラス最高ながら、190キロ近い重量に、重心の高さから来る取り回しの重さも手伝って、間違いなくホーク系の方が軽快で速かったのですが、重厚な乗り味という面で、大いに支持されたものでした。
コレを切っ掛けに、各社、このクラスに4気筒をラインナップする事になり、やがて空前のバイクブームが起こりましたが、正に、それまでの停滞感溢れるバイク業界に蓄積された鬱憤を一気に晴らす様でした。
同時期に登場したCB750Fと共に、80年代のバイクブームの先駆けとして、記憶される車種だと思います。