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トラックのタイヤ脱落の話し

修理
02 /23 2022
この10年程、日本でトラックのタイヤが脱落する事故が増えたといいます。
そして、その殆どが左後輪に集中しているといいます。

この10年程で一体何が起こったのでしょうか?

先ずは左後輪に集中しているという所が気になります。

roadcrown.jpg

道路の断面
道路というものは、センターラーンが一番高く、それを頂点に左右になだらかに下がった「かまぼこ型」になっています。

左後輪に負荷が集中
左側通行の日本では、そのかまぼこ型の左側を走行するのですが、そうなると、自ずと右側よりも左側に多くの荷重が掛かることになります。

そして右左折する時は、操舵する前輪に比べ、真っ直ぐ向いたままの後輪の方がより負担が掛かることになります。

更に左側通行の日本では、左折時、右折に比べて急なカーブを曲がることになるので、やはり左後輪が一番負担の掛かる場所であることは確かなのです。

この事は車が出来てから全く変わっていない事なのに、何故この10年、しかも大型車に限って騒がれる様になったのでしょうか?

ISO規格への変更
一つはホイールを取り付けるネジの規格に変更があったこが挙げられます。
以前の日本の大型車では、JIS規格で右側は通常の右ネジなのですが、左側は左ネジ、つまり逆ネジになっていたのです。これは、左回転する左輪に対して、左ネジを使うことで、車輪の回転がネジを「締める」方向に作用することから、脱落を防げたのです。

ところが2010年頃から、国際規格のISOを採用したことで、左側も通常の右ネジに変更されてしまったのです。
左回転する左輪に右ネジだと、ネジが緩む方向に作用する…これが脱落の原因の一つになっているのです。

右側通行の国では?
だったら右側通行の国では問題にならないのか?と思いますよね?

そこで先程の道路の断面の話しを思い出してみましょう!
右側通行だと、日本とは逆に右側により多くの荷重がかかる事になり、更により短い半径でカーブを通る右後輪に一番負担がかかるのは同じことです。

ところが、重要なのは、これが「右側」だということです。
右輪は当然右回転しますが、右回転に対して右ネジなので、コレは締まる方向に作用するのです!

なので、仮に同じ車両を使用したとしても、これは左側通行故に起こる出来事とも言えるのです。

整備不良?
しかし、メーカーに言わせると、しっかりネジが締まっていたら、そんな事は有り得ない!と反論します。
当然コレも事実なのです。

結局何か?というと、従来の左ネジは、整備不良に対して寛容な規格であったとも言えるのです。
特にトラックのダブルタイヤというものは、結構デリケートなもので、組み合わせる2つのホイールの接触面に錆や汚れが有ったりしても、緩みの原因になったりするのです。

なので、タイヤを取り外した時は、その周辺の清掃は欠かせないのですが、その辺もいい加減、更には締め付けトルクの管理もいい加減…こういうい整備不良が重なると、現在のISO規格だと緩みに発展するのです。

ご存知の様に、現在の運輸業界では、過度なコストダウンの要求から、整備不良、過積載が日常化しているのは誰もが知っていることです。JIS規格は、そういう業界の悪しき伝統に即した規格であった…といえるのかも知れません。

特にダブルタイヤの場合、タイヤ取付時に規定トルクで締め付けた上に、数百キロ走行後に増し締めするのが望ましいのですが、今の日本の現状では、そういう手間暇を掛ける訳には行かない様ですね…。

だったら何故JIS規格を国内向けに採用出来ないのでしょうか?左側だけスタッドボルトを別にすれば良いだけなのですから、大したコストアップになるとも思えないのですがね・・・。

結局は運輸業界の体質
しかし、だからと言ってJIS規格の復活が根本的解決になる訳じゃありません。やはり必要な所に金を掛けられない業界の体質そのものが問題なのですから。

仕事単価の安さ、人手不足も加わって、過積載は当たり前、整備に掛ける金も時間も無いという状況を改善する妙案は無く、残念ながら解決には程遠い状況にあると言わざるを得ません。


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トルクスとトルクスプラス話

修理
10 /30 2019
トルクスというのは、主にヨーロッパ車に多用されているネジです。アメリカ車でも使われているものの、どちらかというとタッピングビスの様な小物が多い印象があります。

それに対してドイツ車なんかではプラスネジなんかは皆無ですし、ボルトは6角、12角、トルクスといった感じなのです。

メルセデスメルセデス・スプリンターのブレーキキャリパーを取り外す時、どうも気になっていたのが、使われているトルクスのボルトが非常に精度が悪く、遊びが多いことなのです。

まあこのボルトは、ブレーキパッド交換時に一緒に交換するモノなので、それ程気にはしていなかったのですが...。

考えてみたらコレ、トルクスプラスですね!

20191030134908e45.jpeg


トルクスプラスというのは、トルクスを改良した新たな規格で、従来のトルクスに比べ、星型の角の部分が分厚くなっていて、工具、ネジ共にダメージが少ないのです。

トルクスは1967年にアメリカで開発されたものですが、ヘックスに比べて接触面が曲面のため、面接触で、ヘックスより接触面が大きいので舐めにくい…という話でしたが、コレこそ机上の空論もいい所で、実際は星型の角が非常に弱く、舐めやすいネジの筆頭でもあるのです!

私が初めてトルクスに接したのは、ホンダ車のエアバッグでしたが、当時は組立工が不慣れであったせいか、軒並み舐めていて、しかもロックタイトが使われていたので、取り外しに苦労したものでした。

トルクスは元々登録商標を持っていたこともあり、高価格であることも手伝って、普及に時間がかかりましたが、現在は特許も消滅しています。

そして特許の消滅を機に、1990年頃に登場したのが、トルクスプラスだったのです。

主な違いが、トルクスの弱点である星型の角の部分をより分厚く強化したことです。

そして、この形状変更から、
従来のトルクス工具を使うと、遊びが多くて舐め易くなってしまうのです。

私が初めてトルクスプラスに接したのは、スバルのフライホイールでした。当時何も知らずに皆、通常のT50のトルクスソケットを使っていたのですが、強く締まっているボルトなので、軒並み舐めたり、工具を破損したりしたものでした。

当時、それ用の専用工具が有ったのですが、TP50のトルクスプラスだったのです。

コレも既に登場から30年近く経つ割りには大して普及していませんし、知名度も相変わらず低いままで、正直私も、その存在を忘れていた位でした。

結局トルクスの特許切れで儲からなくなったから新しいのを出した、そして、形状が変更されているということは、要するにトルクスが失敗作だと認めた様なモノです。

既に普及したトルクスに対して、新たにコレが主流になるとは思えませんが…。

クライスラー・シーラス ヒューズ飛び

修理
10 /23 2019

99-Chrysler-cirrus.jpg99年式クライスラー・シーラスです。

90年代のクライスラーは、フルサイズが縦置きV6のLHカー、そして中級車がこのJAカー、クライスラー・シーラス、ダッジ・ストラタス、そして遅れて登場したプリマス・ブリーズで、更にその下がPLカー、ネオンでした。

さてこの車、エンジンを掛ける時にヒューズが飛んで始動不能という事でした。

試してみた所、毎回ヒューズが飛ぶ訳でもなく、2〜3回に一回という感じの様です。

Chrysler-cirrus-fuse-box.jpg

黄色いヒューズが一つだけ違いますが、このヒューズが飛ぶのです。この20A程度の小さいヒューズなので、スターターソレノイド系の回路です。

こういう場合は、配線そのもののショートよりも、電気部品のトラブルを疑います。

chrysler-cirrus-starter-relay.jpg

先ずは同じヒューズボックス内にあるリレーを疑ってみましょう。4つリレーが有りますが、皆同じ形状なので、他の物と入れ替えてテストしてみますが、それでもヒューズは飛びます。

次に、キーを捻った状態で、スターターソレノイドの配線とボディーアースの間に導通が有るかを点検します。

Chrysler-cirrus-starter-terminal.jpg

スターターのこの部分の配線が、IGキーと繋がっています。

何度キーを捻っても導通は無かったので、配線自体には問題ない…という事で、スターターの交換になりました。

古いスターターを分解してみると、ソレノイドの接点もかなり磨耗していますし、まあ、丁度良い交換時期であったと言えます。

Chrysler-cirrus-starter-.jpg

スターター交換後は、問題なく始動しています。

それにしても、相変わらず作業性は良くないですね…どこにネジが有るかも全く見えませんし、全て手探りでの作業でした。

取り出すのも、取り敢えず最低限のスペースは有り、他に何も外す必要はありませんでしたが、本当に最低限のスペースでした。最初は恐らく左側のアルミ(エンジンマウントのブラケット)は外すんだろうと思いましたが。

更にソレノイドは、車上では全く手が届きません。スターターが逝かれた時にハンマーで…という裏技も使えませんね。

どうもアメ車って、ヒューズ飛びが多いような気がします。

Chrysler-cirrus-Battery-location.jpg

しかしこの車…バッテリーがフロントバンパーの裏で、交換するにはインーフェンダーを取り外し、タイヤを取り外すことになります。

極寒の地デトロイトで作った車がコレじゃマズイですね…。

この車は登場したのは94年、前年暮れに登場した5代目アコードとデザインが物凄く似てる…なんて話題になったものでしたが、やはり見た目だけですね…。

アメリカ車は古くなっても部品がある…とよく言いますが、この辺りも殆どの部品がすでに絶版になっています。


スナップオン FHLLF80 3/8エキストラロング・フレックスラチェット

工具
10 /22 2019
201910220802447f7.jpegこんなのを購入しました。
写真上のスナップオンの3/8ドライブ、エキストラロング・フレックスラチェットです。

写真下のタイプは既に20年以上使っていますが、近年の車の整備性の悪化から、より柄の長いモノが求められる様になってきているのです。

過去20年以上私が使ってきたのは、長さ12.5インチ(写真下)なのに対して、コチラは19.5インチとかなり長くなっています。

この長さは、プロトの1/2ラチェットよりも長いのですが、力は要るけど1/2だと頭が大き過ぎて入らないという場所も多々あるのです。

1/2よりも長い3/8ラチェット…ソケットの強度は大丈夫なんでしょうか?スナップオンのソケットは、無理すると割れ易いと思うのですが...。

スナップオンのラチェットというのは、長年あまり変化が有りませんでした。

50年代と80年代では正直殆ど差がありませんでしたし、90年代になっても、精々シールドタイプになった程度です。

それが過去10年で大きく変わりました。それまで30Tであったものが、今のは80Tにもなっているのです。この80Tが出た当初は、ヘッドが大型化したのですが、その後小まめな改良が施され、私の22年前のソレよりも小さくなっています。

2000年代になってから、台湾製のギアレンチというものが注目され、今や現場では欠かせない存在となっています。

そして、その影響が、通常のラチェットにも取り込まれたのです。

値段は180ドルでした。まあ20年以上前に150ドル近く払ったことを考えると、思った程値上がりしていないとも言えますが....

まあ、高いモノの、コレも勤務先から出た金なので…。

一つ嫌なのは、ゴム製のソフトグリップです。この手は、手触りが暑苦しい上に、パーツクリーナーを使わないと汚れが取れず、特に黒い部分は汚れが見えないので、一見綺麗そうでも手に取ったら汚れがベッタリ…という具合なのです。

旧来のプラスチック製グリップは、一目で汚れがわかる上に、サッと一拭きで汚れも取れるのですが…。

そんな訳で、グリップの交換を予定しています。

ニッサン・セントラ ATフィルター交換

修理
10 /07 2019
日本ではあまり一般的とは言えませんが、北米では、ATFを交換する時、一緒にフィルターを交換してやるのが一般的です。

最近は外付けのエンジンオイル用と同じ様なフィルターが増えましたが、少し前のものは、皆オイルパンを外さないと交換できないのが一般的でした。

まあアメ車の場合、一般的にドレンプラグがないので、ATF交換にオイルパンを外し、一緒にフィルターを交換するのが一般的ですが、ドレンプラグの付いている日本車では、ATFの交換のたびにフィルターを交換することはありません。

そのせいか、一般的にその作業は、アメ車に比べて面倒だと言えます。

先日作業した古いニッサン・セントラ なのですが、ドレンからATFを抜き、オイルパンを剥がし、フィルターを外して交換終了…と思った所、フィルターを留めているボルトの一本、一番長い奴が、どうやっても締まらないのです!

外す時にネジ山を傷めた? という風にも見えません。

他のボルトと位置を変える?他のボルトはそれよりも短いのでダメです。

流石にオートマなので、締まらないボルトを放置する訳には行きません。

ネットで検索してみたところ、なんとそのボルトは、上からナットで留まっており、それを締めるには、バルブボディーを降ろして、上でレンチで押さえながら締めないとダメだと言うのです!

コレには驚きました! 今まで日本車も含めて様々な車のATフィルターを交換しましたが、その交換にバルブボディを降ろさないとダメなんてのは初めてでした。

バルブボディを降ろす時に気を付けないといけないのは、必要なボルトだけを外すことです。何も考えないで全部外してしまうと、バルブボディまでバラバラになってしまうので、大ごとです。

20191007160440c96.jpeg
 - マニュアルの一例…赤いボルトのみを緩めます。

こういう時は、必ずマニュアルで緩めるボルトを確認して作業すべきでしょう。

マニュアル通りの作業でバルブボディを降ろし、ナットを抑えながら締め付けることが出来、無事作業は終了しました。

それにしても、こんなの一体誰が予想するでしょうか?
フィルター自体、普通に近所の部品屋で在庫されている位ですから、全く需要がないとは思えません。

知らないで作業したら、本当に大変なことになります。特にサンデーメカニックが自宅でやったら悲惨なことになります。

結局30分程度の作業を予定していたのが、2時間位掛かってしまいました。

やっぱりニッサンって、こういう所がバカですね…。
それとも長年フィルター交換なしで問題なく走っているのを優秀と思うべきなのでしょうか?


americancars4ever

アメ車のブログとして開設して13年目、車以外にも様々な身の回りの話題を取り扱っています。