イーグル・サミットワゴン
イーグルイーグル・サミットワゴンは、クライスラーのイーグル部門から販売された三菱RVRのバッジエンジニアリングです。
製造は、三菱とクライスラーの合弁会社「ダイヤモンドスター・モータース」によるものでした。
80年代当時のアメリカは、急速にシェアを拡大する日本車への対策として、輸入規制を初めており、各社共、アメリカ現地生産に力を入れ始めて時期でした。
そんな中で特に小型車のランナップを三菱に依存していたクライスラーにとって、ダイヤモンドスターは大変に重要なプロジェクトだったのです。
シカゴの郊外、イリノイ州ブルーミントンで1988年に操業を開始したダイアモンドスター・モータースですが、その当時、私もその巨大な工場を見たことがあります。
イリノイ州の延々と続くトウモロコシ畑の中に、忽然と姿を表したその巨大な工場の姿には、その規模もさることながら、アメリカ中を買い漁る…と、日本の脅威が騒がれていた当時、実際に、こんなアメリカの片田舎にまで日本が進出しているという事実に驚いたのものでした。
確か実家に、ココで撮った写真があるはずですが・・・。
90年代に入ると、クライスラーも自社ラインナップを強化すると共に、三菱の関係は次第に弱まっていき、当初50:50であったクライスラーの保有株も三菱に譲渡されました。
その後も2004年頃まで、クライスラー向けの車種を製造していましたが、その後は三菱車に専念することになったものの、生産台数は目標を下回り続け、2016年には、あの時の最新鋭工場も閉鎖されてしまいました。
さて、話をイーグル・サミットに戻しますが、このサミットという名前は、元々三菱ミラージュ系のセダン、クーペだったのですが、ワゴンはアメリカでは初代RVRの兄弟車で、カナダでは、シャリオの兄弟車になっていました。
…という事は、写真のこの車は、アメリカ仕様ということになります。
日本仕様との違いは、左ハンドルになっている関係で、スライドドアも日本とは逆の右側に取り付けられていることが目に付きます。
この車の販売期間は92~96年の4年間ですが、イーグルというブランドが廃止になって既に20年も経っており、イーグルの車を見かけること自体、非常に珍しくなりましたし、更にカナダで販売されなかった車種だけに、実物を見たのは、恐らく初めてだと思います。
元々クライスラーのAMC買収によって手に入れたイーグルという名前でしたが、それを部門名に昇格したものの、販売した車の殆どが三菱やルノーのバッジエンジニアリングであったこと、その上三菱車も、ダッジやプリマスといった、より知名度の高い部門から同様の車が販売されていた事もあり、地味な存在に終始しました。
今は亡きダイヤモンドスターモータース…それは即ち、80年代に於ける日米自動車摩擦の象徴に他なりませんでした。そして、その閉鎖は、日本経済の衰退の象徴に見えなくもありません。
それか、北米市場で苦戦し続ける三菱の象徴と言った方が、より正確かも知れませんが…。
その反面、トランプ大統領による日米自動車摩擦発言…何とも皮肉なものです。
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