シボレー・コルヴェア
シボレー
シボレー・コルヴェア
街を歩いていたら、後ろから結構勇ましい音を立てた車が通り過ぎて行きました。
あの後ろ姿は…間違いなくシボレー・コルヴェアです!
そして、その勇ましい音も、空冷水平対向6気筒エンジンならではのモノです。
交通もユックリしていたので、何とか走って追い付き、フロント周りも撮影することができました。

シボレー・コルヴェアはGMが販売したコンパクトカーで、1960年に発売されました。
アメリカ・ビッグ3というのは自由競争を建前としているものの、皆59年を最後にテールフィンの競走を止め、60年以降は皆申し合わせた様にテールフィンを小型化したり、同年、フォード・ファルコン、プリマス・ヴァリアントといったコルベアと同クラスのコンパクトカーに3社同時に参入している辺りも面白い所です。
1.車の大型化、豪華化に明け暮れた50年代の反省
2.徐々に販売台数を伸ばしてきたVWやBMCといった輸入車への対応
この辺りがビッグ3の小型車参入への原動力となった訳ですが、特に2は、2台目の車を持つ家庭が増えてきたという市場の変化もありました。
それまでは1台、家族全員で乗る快適な車が圧倒的な人気を誇っていた所に、2台目として、よりコンパクトで経済的な車を求める人が増えたのです。
そんな中で登場したコルヴェアですが、単にダウンサイズに留まらず、モノコックボディを始め、エンジンはアルミ製の空冷水平対向6気筒という、他とは全く共通点の無いレイアウトのエンジンで、コレは当時人気を得ていたVWビートルに2気筒足した様なレイアウトでした。
アメリカとしてはエンジンからシャシーまで完全に新設計という極めて意欲的な製品で、実際に新鮮なデザインも手伝い、かなりの人気を得たのですが、同時にリアエンジン特有の前後の重量配分のアンバランスさ、そしてコーナーで腰砕けになるスイングアクスル式リア・サスペンションを原因とした操縦性の悪さ等、安全性に疑念を持たれ、ラルフ・ネーダーによる告発を受けることになってしまいました。
当時のラルフ・ネーダーは一介の弁護士に過ぎず、そんな人物が、神のような絶対的な存在であったGM様に楯突くとはケシカラン、一体どんな奴なんだ?と探偵を雇って身辺調査を行おうとしたところ、その事がプライバシー侵害で逆に訴えられ、莫大な賠償金を支払うと共に、欠陥車を隠蔽しようとしたGMの評判にも大きく泥を塗り、そして以降、コルヴェアの販売も低迷し、1969年には生産中止となっています。
この事件をきっかけに、車の安全性をメーカー任せ出なく、FMVSSとして政府が関わる様になり、アメリカ車の安全性向上に一役買うことになりました。
更に後に発売したシボレー・ベガの欠陥騒ぎもあり、以降長期に渡ってGMが意欲的な車を作ることは無くなり、古いメカを使い回す我々の知るGMへと変わっていったのです。
コルヴェアも欠陥車として人気も低迷し、大切にされなかった事もあり、今日その姿を見ることは非常に珍しいと言えます。
キューバでは時々見掛けたのですが、走っている姿は正直記憶に無いと思います。
それだけに、今とこうやって走って追いついてまで撮影したいと思う存在だったのです。
それにしても、こんな特殊なエンジン、キューバでは一体どんな載せ替えをやっているんでしょうか?
もしかしたら、VWビートルのエンジンだったりして…。
しかし、このデザイン…私は日野コンテッサと似ていると思うんですが、コルヴェアはビル・ミッチェル、コンテッサはミケロッティで、実際には関係ありません。
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