49年型フォード フラッシュサイドボディー
カーデザイン スタジオ戦後暫く戦前と同じ車を作り続けていたビッグ3ですが、48年型キャデラック辺りから、いわゆる戦後型が始まり、その中でも、特に目立ったのが、戦後型49年型のフォードでした。
前年のモデルと比較して頂ければ一目瞭然ですが、それまで一般的であった、前後のフェンダーが出っ張ったデザインから決別し、現在まで続く、サイドが面一の、フラッシュサイドボディーを採用していたのです。
車は元々馬車にエンジンを積んだものから発展し、それぞれの車輪に泥除けを付ける・・・という古典的なスタイルからの完全な脱却と言えるものでした。
そのデザインが、大衆車のフォードばかりでなく、高級車のリンカーンまで採用されている辺りに、相当な自身を見て取ることができます。
そして、同年式のライバルであるシボレーを見てみると、フロントフェンダーの出っ張りを無くし、リアフェンダーのみが出っ張っているという過渡期的なスタイルを見せており、この状態が54年型まで続きます。
因みに、ヨーロッパでこのスタイルが採用されるのは、10年近く経ってからのことでした。
○積極的にテールフィンを採用したGMに対し、控えめであったフォード。
○開閉式ヘッドライトを長く採用したフォードに対し、比較的早い時期に止めたGM。
○80年代にヨーロッパ風のラインを採用したフォードに対し、比較的遅くまでクロームを多様したアメリカ的なスタイルを維持したGM・・・。
結局最後には両者とも同じ系統のデザインを採用する事になるものの、いつも、その過程に意識的にか、正反対の動きが見えるのが、興味深いところです。
そして、現在のビッグ3の不振は、デザイン面で何ら優れた提案が無いことも、大いに影響しているのは間違いありません。
写真1:49年型フォード…下の48年型と比較すると、実にシンプルである意味素っ気無くも見えるものの、当時はさぞかし斬新に見えたことでしょう。
写真2:49年型リンカーン…高級車故に、よりユッタリとした優雅なデザインです。中央分割式の平面ガラスでは無く、一枚の曲面ガラスを使用しているのが目に付きます。
写真3:48年型フォード…戦前と同じ型で、出っ張ったフェンダーが古典的です。
写真4:49年型シボレー…過渡期的とも言えますが、優雅で、上手くまとまったデザインです。
写真5:54年型シボレー…リアフェンダーの出っ張りの残った最後の年でした。翌年の型が余りにも有名な為、陰に隠れた存在になり勝ちです。