クライスラーLHカー アメ車デザインのターニングポイント
カーデザイン スタジオクライスラー・コンコルド・・・・LHカー3兄弟の中で、一番高級志向になっています。
今から見ると、極普通のスタイルですが、当時は随分とボンネットが短く、キャビンが長く見えたものでした。
横一列のテールランプで、高級感を演出?しようとしていています。
〈オマケ)
1992年11月、久々にアメリカを訪れましたが、この時、密かに楽しみにしていたのが、発売直後のクライスラーLHカーだったのです。
それまでのクライスラーとは全く違うデザイン、正直私は、それ以前のデザインにも比較的好印象を持っていたので、正直余り好みとはいえない、この全く新しいデザインのLHカーが実際にはどの様に見えるのか?という辺りに興味が有ったのです。
当時はまだ発売直後であったにも関わらず、比較的アチコチで見かけた事を考えると、出だしから好調な売り上げを記録していたのだと思いますが、デザインに関して「アレ???」と思うことが一つありました。
それは、日本に居る時に写真で見た印象と全く同じだったことなのです。
もう少し判り易く言うと、従来のアメリカ車は、写真で見るよりも、実物を見た方が、遥かに良く見える場合が殆どだったのです。
80年代の寸詰まりと言われたシビアノッチバックの車も、実物での印象は決して悪いものでは無く、また、その少し前に日本にも投入された新型キャデラック・セビルも、正直写真での印象が良くなかったのに対して、実物では、かなり好印象を持てた・・・といった具合だったのですが、この車に関しては、写真と実物の差を全く感じなかった最初の例だったのです。
この頃から、デザインの工程でコンピューターが大幅に導入されたのでしょうか?この車の発売時のコメントでも、設計の合理化によって、開発期間が大幅に短縮されたということが言われていました。
「写真と実物の差が無い」ということ・・・コレを良しとするか、悪しとするかは意見が分かれる所かも知れませんが、正直アメ車に関しては、この頃を最後に、明らかにデザイン的に後退していると思うのです。
そして、コンピューター化=簡単に拡大縮小が出来る様になった結果、「薄らデカイ日本車」みたいな、肝心な所を勘違いした車が出てきたのも、また事実です。
以前の記事で述べたとおり、LHカーは、キャブフォワードという新しいデザインコンセプトによって、従来のアメ車で一般的だった、ダウンサイズした車には不向きは、「ロングノーズ、ショートキャビン」から脱却する切っ掛けにもなりました。
同時に、無駄に傾斜の大きいフロントガラス、巨大なダッシュボードから来る、間違った居住空間をもたらしたのも、このキャブフォワードの弊害であることを考えると、やはりこのLHカーこそが、良い意味でも、悪い意味でも、今日のアメ車のデザインを語る上での大きなターニングポイントであったと言えるのかも知れません。
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