キャデラック・ド・ヴィル
キャデラックこの世代を最初に見たのは、93年の東京モーターショーでした。
その第一印象は、「やっとキャデラックらしい新型車が出た…」というものでした。
91年には、先立ってセビルが登場して、アメリカでは人気を博していましたが、同時にアメリカらしさ、キャデラックらしさを余り感じさせない大胆なモデルチェンジであっただけに、余計に旧来のキャデラックらしさを残したコレが、嬉しく思えたものでした。
同年、フルサイズの新型フリートウッド・ブロアムも登場しており、オイルショック以降、長年低迷していたキャデラックも、いよいよ本格的に復活…と思ったものです。
先代のド・ヴィルが、ビュイック・パークアベニュー等、下位クラスとシャシーを共用していたのに対して、新型はセビルと共用…その新型セビル自体、非常に洗練した高度な走りで話題になっただけに、余計に期待を持たせるものでした。
ノーススターエンジンは、セビルよりも若干デチューンされていましたが、性格的には大変に好ましいもので、当時の日本の雑誌でも、世界トップクラスの乗り心地と走りと評されました。
どちらかと言うと、走りに振ったセビルに対して、より快適性に振られた性格で、アメリカ的な快適性を維持しながら、実に安定して、操縦性も良い車で、ある意味、最も完成されたアメ車の乗り味といえるものでした。
ところが、97年モデルでは、何を考えたのか、明らかなデザインの劣化が始まり、2000年に登場した次期モデルでは、更なるデザインの劣化、そして最終的には、伝統ある名前を捨て去り、DTSなんていう訳の分からないアルファベット3文字の名前になりました。
先代までは、セダン・ド・ヴィル、クーペ・ド・ヴィルと呼ばれていましたが、この世代は4ドアセダンのみであった為、単にド・ヴィルと呼ばれています。
日本では、コンコースと呼ばれましたが、コレは、上級クラスのド・ヴィル・コンコースのみが日本に導入されたこと、そして、DeVilleというのがデビル=悪魔を連想させるというのも有った様です。
この車を評するとしたら、「キャデラックの復活…そして自爆…」という事になると思います。
時代的には、チャック・ジョーダンの最終期に当たり、以降、キャデラックにみならず、GM全体の劣化が始まり、やがて経営破たんにつながりました。
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