カワサキZ400FXは発売以来、爆発的なヒットを飛ばしましたが、当然他社も指を咥えて見ているだけではありませんでした。2番手として400cc4気筒の市場に参入したのは、ヤマハでした。
元々2ストを得意とするメーカーで、4ストに関してはイマイチ地味であったヤマハの参入は、当時既に勃発していた、所謂HY戦争の影響も大きかったことでしょう。
ホンダはこのマーケットに対して極めて慎重で、事実、最後発となるのですが、正に鬼の居ぬ間の洗濯といった感じでもありました。
しかし、同時期に登場したRZが、実にスポーティーな雰囲気であったのに対して、何故か此方はカラーリングを始めとして、全体の雰囲気が非常に地味なものでした。
当時のヤマハは、4ストでのレースの実績が無かった事も、関係しているのか、4ストをスポーティーな位置付けにしていなかって様ですが、カワサキよりも2馬力上の45馬力に、9キロ軽い車体のお陰で、取り回しも含めて、遥かに軽快に、良く走る走るバイクで、80年の400ccクラスのベストセラーになりました。
後に何故か4本マフラーのDを追加したのは、不思議なものでした。当時、4本マフラーは、過去の遺物以外の何者でもなく、地味なカラーリングと相まって、かなり微妙な存在でした。
後にスズキ、ホンダも、このマーケットに参入しますが、その中でも最も地味な印象で、中古価格も非常に安く、珍走系の方々に大いに好まれたものでした。
まあ、中古が安いというのは、当時のニューモデルラッシュの中では、FXも同じ事でしたが・・・。
当時の私は、全く興味のない一台で、試乗すらしたことが無かったのですが、10年ほど前、ニュージーランドで売りに出されていたのを(日本から来た中古車です)試乗に行きました。
すると、どうでしょう?
大柄な車体からは信じられない位に取り回しが良く、適度な手応えのあるハンドリング、適度なトルク感を伴った加速フィーリング、完璧な乗車ポジション… 80年代初頭の400cc4気筒のベストと聞かれたら、私は、迷う事なくXJを挙げます。
先発のカワサキと、最後発のホンダに比べ、ヤマハとスズキが地味に見えたのは、カワサキの作った路線に忠実すぎたからなのかも知れません。
それだけバランスの良いバイクなだけに、あの地味なカラーリングが残念でした。かつては、検無し現状渡しで10万そこそこで買え、解体屋にもゴロゴロしていたものですが、今や、コレにもプレミア価格が付いていて、身近な存在ではなくなってしまいましたが、初代RZ250の様な色に塗って、今でも乗ってみたい一台です。
因みに、XJには、アメリカンスタイルのスペシャルというモデルが有りました。
かつての人気漫画「ハイスクール奇面組」の似蛭田妖が乗っていた「ヤマサキUSO800」というバイクは、このXJ400スペシャルがベースになっている様です。