<ニコン>高級コンデジ「DL」発売中止 収益見込めず
写真・カメラニコンは13日、高級コンパクトデジタルカメラ「DLシリーズ」3機種の発売中止を決定したと発表した。同社は「開発費増加と、市場の減速に伴う販売想定数量の下落を考慮し、収益性重視の観点から」発売中止に踏み切ったとしている。カメラ愛好家で話題になっていた機種だったが、発売が昨年4月に延期されていた。
3機種は、35ミリフィルム換算で18ミリの超広角からのズームレンズを搭載した「DL18-50」▽標準ズームの「DL24-85」▽超望遠500ミリまでの20倍ズームの「DL24-500」。いずれも1型素子(13.2×8.8ミリ)を搭載し、高画質で多彩な撮影機能を持つとしていた。
ニコンは3機種をコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)の新シリーズとして昨年2月23日に発表し、横浜市で開かれたカメラと写真映像の総合展示会「CP+(シーピープラス)2016」で実機を初めて公開した。カメラ大手のニコンが新たなコンデジを投入する期待感はカメラファンに高く、会場で実際に触れるコーナーでは、最新デジタル一眼の「D5」や「D500」に劣らない行列ができていた。
しかし、当初、昨年6月の発売予定だったものの、「画像処理用のICに不具合がある」として、同4月20日に発売延期を告知。その後、3製品に対する公式な情報がなく、様々な憶測を呼んでいた。
コンデジは、撮影機能が向上したスマートフォンに追われて市場が縮小し続けている。対抗策を迫られたカメラメーカーは、コンデジのさらなる高画質化を目指した。画質を決める撮像素子に「1型素子」を採用すれば、従来のコンデジで主に使用されてきた1/2.3型に比べ、面積比で約4倍と画質で優位性を持てるため、1型素子を搭載したコンデジでスマホと差別化しようとソニーやパナソニック、キヤノンなどが高級コンデジの主力商品を投入している。
ニコンもこれまで1型素子を積んだミラーレスカメラ「ニコン 1」シリーズを発売していたが、レンズ交換式の一眼カメラで、コンデジとは異なるラインアップだった。DLシリーズは各社に対抗する高級コンデジとして期待されていた。【デジタル編集部】
ニコンは、ミラーレスでも1型センサーを使用していますが、正直、人気はイマイチです。
それは、マイクロフォーサーズ辺りと比べても決定的にコンパクトと言う訳でもなく、画質面でメリットがある訳でもないからなのですが・・・。
反面、高級コンパクトに関して言えば、ソニーRX100シリーズ等、1インチセンサーが主流と言えます。
そんな中で、ミラーレスのニコン1に関しては、その存続を疑問視する声が大きいものの、このDLシリーズに関しては、特に一眼レフのユーザーから注目を集めていました。
今日、スマホの影響で、普通の廉価版コンデジは、既に総崩れ状態です。ソレに対抗出来るモノといえば、高倍率ズーム付きであったり、画質面でアドバンテージのある高級コンデジなのですが、ソレでも売上の見込みが立たなくなった…。
確かに観光地なんかで見かける人といえば、一眼レフ、ミラーレスかスマホといった感じで、高級コンデジを含め、コンデジを使っている人は殆ど見かけないという印象があります。
3機種同時開発というのも開発コストを上げた原因でしょうし、その上、画像処理用ICの不具合もソレに拍車をかけ、更には熊本地震によるセンサー供給の遅れも発売延期に影響したといわれています。
日進月歩ならず秒進分歩と言われるデジタルの世界…本来なら昨年発売されているはずのモデルとなると、既に技術レベルも時代遅れです。その事は、部品供給とも関連が出てくるので、仮に1年遅れて発売したとしたら、モデルチェンジの時期も早くならざるを得ない…という可能性も十分にあります。
その面でも更にコスト的に厳しいものになってしまいます。
デジカメのモデルチェンジの時期というのは、部品メーカーとの兼ね合いとも大いに関係があり、古い部品をいつまでも使い続ける訳には行かず、ソレもデジカメの製品寿命の短さの原因なのです。
せめて標準ズームのモデルだけでも発売して欲しかった気もしますが…このDLシリーズの発売中止は、コンデジ市場にとって、大きなターニングポイントになることは間違いないでしょう。
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