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アヴァンティーⅡ Avanti Ⅱ

独立系メーカー
05 /23 2021
アヴァンティーⅡ フロントビュー

アヴァンティーⅡ


こんなのを見かけました。
アヴァンティーⅡ…この車は、元々、インディアナ州サウスベンドを本拠地としたスチュードベーカー社が1962年に発売したスチュードベーカー・アヴァンティーの復刻版です。

先ずは何と言ってもこのデザインです。62年当時のビッグ3といえば、ようやく50年代のテールフィン時代に決別し、60年代のデザインを模索している時代でした。

それに対して「機関車から口紅まで」と言われ、極めて多くの分野で活躍したレイモンド・ローウィの手によるこのデザインは、FRP製ボディといい、完全に時代を超越していますし、メカ的にもアメリカ初の前輪ディスクブレーキを備え、走りを追求したモデルになっていました。

アヴァンティーⅡ サイドビュー
ところが、この余りに突飛なデザインが嫌われたこと、そして生産が困難であったFRP製ボディーということもあり、初年度は僅か1200台しか売れず、全部で4,643台という生産台数で、1963年末にスチュードベーカー社のアメリカ市場撤退が発表され、アヴァンティーも生産中止になりました。

そして、カナダ工場では数年間旧モデルのラークを生産した後、同社は完全に自動車生産から撤退しています。

アメリカでの生産を終えたスチュードベーカーの製造工場及びその権利は、地元のディーラーに引き継がれることになり、アヴァンティーⅡとして生産が再開されました。

アヴァンティーⅡ リアビュー
当初はGM、フォード、クライスラーといったビッグ3や、AMCにも話は行ったそうですが、誰も興味を示さなかったと言われています。実際の販売実績、生産性、そして当時としては理解されなかったデザインが災いしたのでしょう。

以降はオーナーが転々としながらも、エンジンはシボレーのモノが使われ、シャシーは85年モデルまでオリジナルのものが使われ、その後はシボレー・モンテカルロ、そして最終的にはシボレー・カプリスのシャシーが使用されたそうです。

元々2ドアクーペのみであった所に、最後の頃に4ドアやコンバーチブルが追加されましたが、恐らくそれはカプリスのシャシーによるものだったのでしょう。

スチュードベーカー時代の殆どがヘッドライトのトリムが丸形で、写真のような角型になったのは、ごく少量販売された64年モデルのみでしたが、アヴァンティーⅡはその64年モデルのスタイルを継承しています。

日本でも、オクズミ商事という会社が販売を行っていましたが、恐らくココなのでしょう。

そして91年にオリジナルの終了した後、暫くブランクを置いて97年に今度はカマロのシャシーを採用したモデルが2005年まで生産されていた様ですが、コチラは一度も現物を見たことがありません。

それにしても、この車を前回見たのは、恐らく10年近く前だったと思います。駐車場から出てくる所に居合わせたのですが、スマホを取り出すのが間に合わず、写真に収めることは出来ませんでした。

その時の色はベージュだったので、違う個体だと思いますが、一体バンクーバーに何台現存しているのでしょうか?
道を間違えたお陰で偶然目にすることが出来たのですが、本当にラッキーだったと思います。

コチラはアヴァンティー社のウェブサイトですが、現在、電気自動車のアヴァンティーⅢを用意している…となっていますが、テスラに対抗する様なのが出来たら楽しいですね!


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クライスラーTC by マセラッティー

クライスラー
05 /22 2021
クライスラーTC フロントビュー

クライスラーTC by マセラッティー


本当に久々にこんな車を目にしました。前回の記事にしたのが2012年…実に9年ぶりのことです。

クライスラーTC by マセラッティー…1980年代にクライスラーを率いた故・リー・アイアコッカ氏が、フォード時代から私的な付き合いのあったマセラッティーのオーナー、デ・トマソとの私的な提携?の末に生まれたのが、このクライスラーTC by マセラッティーでした。

Chrysler-TC-rearview.jpg

ロゴはクライスラーに五角形にマセラッティーのエンブレムを組み合わせたものになっています。

シャシーはクライスラーのKカーをベースにしたものですが、ボディーの制作はマセラッティーの手によるもので、エンジンはクライスラーのエンジンをベースに、コスワーズ製のDOHC16バルブヘッドに載せ替えられたものでした。

クライスラー製のシャシーにクライスラー製エンジンをベースにしたエンジン、そしてマセラッティーのデザイン…コレが逆だった方が良かったのではないか?というのが大方の意見でした。

そして90年モデル以降は、クライスラーのお約束で、三菱の3リッターV6エンジンになってしまっています。

1986年のロサンゼルスショーで発表されたものの、発売は89年までずれ込み、更にはこの車が発売される前に、同様のデザインでクライスラー・ルバロンが半額で発売されてしまったことも、この車の存在価値を無くしてしまいました。

結局、僅か3シーズンの間に7300台が販売されただけで終わってしまいました。

クライスラーTC サイドビュー

ホイールベース 2,370 mm
全長      4,465 mm
全幅      1,740 mm
全高      1,318 mm

こうやって見ると、結構小さい車ですね。因みにル・バロンは全長4,694 mm、ホイールベース2,550と、この車よりも大きかったりします。

ル・バロンは4シーターで、TCは2シーターという差はあるものの、33,000ドルという当時の価格を考えると、やはりもう少し大柄な方が良かった気もします。

このデザインは、もう少し大きなボディの方が生きると思うのですが、如何でしょうか?

クライスラーTC リアビュー

80年代後半のアメリカビッグ3は、イメージ向上に躍起になっていた時期でもあり、キャデラック・アランテ、ビュイック・リエッタといった様な同セグメントの車が存在しましたが、どれもコンセプトが明後日の方向を向いていたこともあり、大した結果を残せませんでしたが、正に時代の徒花といった所なのでしょう。

一つ弁護するならば、今のマセラッティーよりはコチラの方が私の好みだということです。

そして、販売的には振るわなかったものの、こんな楽しい企画が出来るクライスラーは、現在のジープ「しか」売れていないソレと比べると、やはり遥かに魅力のあるメーカーだったとも言えます。

americancars4ever

アメ車のブログとして開設して13年目、車以外にも様々な身の回りの話題を取り扱っています。