ミニバンの衰退
無題ポンティアック・モンタナ:バンクーバーでは、タクシーに採用されていましたが、GMもこのセグメントから既に撤退してしまいました。
今回カナダに来て感じるのは、ミニバンの衰退です。
アメリカでは従来、ピックアップトラックをベースにした、所謂フルサイズのバンが一定のシェアを持っていました。
ところが、2度のオイルショックによってアメリカ人の車に対する嗜好が大きく変わると同時に、それらもマーケットを失う事になるのですが、そんな80年代の前半に登場したのが、クライスラーのミニバンでした。
コレも、あのリー・アイアコッカ氏の企画であり、それまでのバンがトラックをベースにしているのに対して、乗用車をベースにしているのが特徴で、FFでコンパクトな車体は、新たなアメリカ車の姿として定着するに至りました。
それまで一台の車で、居住性、積載性・・・と様々な要素を考えた挙句、巨大なアメリカ車に乗っていた人たちの多くが、この手のミニバンにシフトする様になり、フォード、GM、そして遅れて90年代には、日本のメーカーもその市場に参入することになりました。
ところが、ライバルが増えたとはいえ、トータルでクライスラーの人気が強く、他社は大きく水をあけられた状態が続いたのですが、この10年、トヨタやホンダが、アメリカ製ミニバンと同等のサイズのものを投入する様になると、事態は段々と変わっていきました。
先ずは、元々手ごろなサイズ、価格で始まったミニバンも、段々と巨大化の道を辿り、ソレに伴って、高価格化も起こりました。
オーストラリアのある雑誌のミニバンに対するコメントで「便利な様に見えて、実際に必要な人に買えない「高くて)車」というものがありました。そして、必要な人に手が届くのが・・・・キア・カーニバルの様な劣悪極まりない車・・・・という訳です。
そうこうしているウチに、GMもフォードもこの市場から撤退し、アメリカ車はクライスラーのみとなってしまいました。
当初、日本の5ナンバーより若干幅が広い程度で始まった、シンプルかつコンパクトなミニバンも、今や幅が2メートル近くと、フルサイズバンと大差無いレベルまで拡大してしまいました。アメリカの常で、野放図なサイズアップこそが、この原油高、不況の時代にユーザーを失った最大の理由なのかも知れません。
丁度ライバルも居なくなったところで、もう一度原点に返ることは出来ないものでしょうか?
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